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Vol.19 「隠す会話」のテクニックを使いなさい

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小説では、会話の使い方が重要なポイントであることは明らかです。キャラクターを育てるのも会話ですし、ストーリーを進めるのも結局のところは会話なんですね。会話をどのように使うかで、小説家としての力量が問われることになりそうです。大沢さんによると、その中でも特にオススメしたいテクニックがあるそうです。

 

特に覚えていただきたいのは、「隠す会話」のテクニックです。黙っていたり、話を逸らしたりする「隠す会話」と、作者が物語をひっくり返すための「隠す会話」。この二つのテクニックをぜひ使えるようになってください。(引用元:売れる作家の全技術/大沢在昌/角川書店)

 

まず、話を逸らしたりする「隠す会話」。これは例えば、ストーリーの重大な鍵を握る登場人物がいて、核心にせまったセリフを吐いていたとします。しかしその会話を受ける別の人物が、それに気がつかずに、まったく関係のないところに反応してしまう。そうすると読者も、その会話に流されることになります。それが伏線であることも気づかずに、です。

そして、物語をひっくり返すための「隠す会話」。例えば、犯人探しのための手がかりを探すために、ある人物に聞きこみをしているとします。「ここに怪しい男が来ませんでしたか?」「いいえ、そんな男は誰一人見ていません」と。さて、その後、実は犯人は女で、男は見ていないけれど、女は見ていた、というオチになるのが、このパターンです。

 

どちらも、会話文を使ったいわゆるミスリードのテクニックの1つですね。ミステリーの分野ではよく見かけますし、読んでいる最中にはその伏線になかなか気がつけないものです。読み終わって、「ああ、あれはそういう伏線だったのか!」と読者に悔しがらせることができたら、小説家冥利につきますよね。

伏線の張り方については数えきれないほどのテクニックがあるのでしょうが、まずはこの隠す会話のテクニックを修得したいものです。

 

でもよく考えてみると、隠す会話って、日常生活でもたくさん使われていますね。

後ろめたいような隠し事がある人。こちらの言うことを理解してくれない鈍感な人。空気を読めない人。頭の回転がよくはぐらかす人。あの人も、この人も、自分も、普段から意識しないでもたくさん隠す会話を使ってきているような気がします。

とはいえそれを小説のテクニックとして使えるかどうかは、また別の話ですね。練習あるのみです。

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