*

Vol.21 お決まりパターンはデメリットではない

ad


オリジナリティを出そうとすると、どうしても”お決まりパターン”を避けてしまいたくなります。でも、どうしてそれがお決まりパターンになったのかをよく考えてみると、一概に無視するのもよくなさそうです。大沢さんの次の一文からも、そのことが感じられます。

 

「何の役にも立たないと思っていた特技が思わぬところで生きてくる」というのは、乱歩賞の本命作品などでよく使われるパターンですが、これもうまくいけば面白い物語になります。(引用元:売れる作家の全技術/大沢在昌/角川書店)

 

この発言からは、ふたつのことが読み取れます。

まずひとつは、新人賞には本命作品に選ばれやすいパターンが存在するということ。乱歩賞では、「何の役にも立たないと思っていた特技が思わぬところで生きてくる」というのが一つの傾向みたいですね。他の新人賞の傾向も気になるところです。

 

そしてもうひとつは、お決まりパターンはけしてデメリットにはならないということ。これって、盲点でもありますよね。

普通は例えば、「乱歩賞では◯◯のパターンが多い」という情報があったときに、「じゃあみんなとかぶるのが嫌だから、オリジナリティを出すために◯◯のパターンは避けよう」という思考に陥りがちです。

しかし、こう考えることもできるはず。「◯◯のパターンが評価を受けやすいんだから、私も◯◯のパターンで書こう」と。それもひとつの戦い方ですよね。新人賞を取りに行く姿勢としては間違っていないと思います。

オリジナリティを出したいのであれば、そのパターンの中でオリジナリティを作ればいいのであって、パターンを避けることは絶対条件ではありません。

 

傾向があるということは、たまたまその年だけ多かった、ということではなく、その傾向が続いている、という意味です。これはシンプルですがすごく重要な考え方で、株やFX(為替)の世界では、「トレンド(傾向)に逆らうな」という格言もあるほどです。

素直にトレンドに従っている方が、何かとお得である。一発逆転を狙ってトレンドに逆らうと、痛い目にあう。これは、投資の世界も新人賞の世界も、同じだと言ったら大げさでしょうか。

 

ただやみくもに”お決まりパターン”を避けることはしないよう、普段から意識しておきたいものですね。

ad

関連記事

売れる作家の全技術

Vol.18 こどもが主人公でも、大人の文章を書けばいい

10代の主人公なのに、言葉や考え方がやけに大人っぽいことがよくあります。現実的じゃないよなぁ、なんて

記事を読む

売れる作家の全技術

Vol.17 甘いモノが嫌いな主人公は甘いモノを絶対に食べない

"暗黙の了解"というものは、どこの世界にでも存在するものです。もちろん、小説も例外ではありません。

記事を読む

売れる作家の全技術

Vol.16 主人公に変化のない物語は人を動かさない

小説とは、人の心を動かしてこそ名作となりえます。では、小説で人の心を動かすとは、つまりどういうことな

記事を読む

売れる作家の全技術

Vol.10 キャラクターがストーリーを作る。

ただの"読者"であった私にとって、とても衝撃的な記述がありました。   ストー

記事を読む

売れる作家の全技術

Vol.15 人物描写で楽をしてはいけない

何も考えないと、やってしまいがちなこと。ああそうか、と思わず唸ってしまったアドバイスです。 &

記事を読む

売れる作家の全技術

Vol.20 一人称で自分の能力がわかる

この本の中で最も多い指摘のひとつが、視点の乱れに関するものでした。特に、基本となる一人称の書き方につ

記事を読む

売れる作家の全技術

Vol.13 「通行人A」が物語に厚みをもたせる

軽い気持ちで登場させていいキャラクターなんか、いないんですね。   「通行人A

記事を読む

売れる作家の全技術

Vol.19 「隠す会話」のテクニックを使いなさい

小説では、会話の使い方が重要なポイントであることは明らかです。キャラクターを育てるのも会話ですし、ス

記事を読む

売れる作家の全技術

Vol.14 スタニスラフスキー・システム

ちょい役の「通行人A」に、どうやって深みを与えるのか。演劇の世界で有名な、ある方法を紹介してくれてい

記事を読む

売れる作家の全技術

Vol.12 新人賞には悪人が必要

簡単そうに見えて、でも実は難しいというアドバイスが出てきました。   いい人だ

記事を読む

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

ad

売れる作家の全技術
Vol.24 副詞は使っていいのかダメなのか

副詞とは簡単に言うと、「すぐに」「もっと」「なぜなら」など、動詞や形容

売れる作家の全技術
Vol.23 物語のタイムテーブルは確認用として使いなさい

ストーリーを作るときに考えておかなくてはいけないことの1つに、物語のタ

売れる作家の全技術
Vol.22 人が読んで面白いと思う小説の条件とは

面白い小説とは何か、という問題は、世界中の小説家にとってもっとも難しい

売れる作家の全技術
Vol.21 お決まりパターンはデメリットではない

オリジナリティを出そうとすると、どうしても"お決まりパターン"を避けて

Fake/五十嵐貴久
Fake/五十嵐貴久

『Fake』は、読み終わった時の感動が強く、いまだに忘れられない作品の

→もっと見る

PAGE TOP ↑