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Vol.17 甘いモノが嫌いな主人公は甘いモノを絶対に食べない

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“暗黙の了解”というものは、どこの世界にでも存在するものです。もちろん、小説も例外ではありません。

 

甘いモノが嫌いだから普段は食べないという人でも、ふとした弾みで隣の人が食べているクッキーをつまむことがあるでしょう。しかし、小説の中で「甘い物は嫌い」と言っていた主人公がケーキを食べるシーンが出てくるとしたら、そこには絶対に理由がなくてはいけません。(引用元:売れる作家の全技術/大沢在昌/角川書店)

 

ミステリーの場合は特にですが、「それはアンフェアでしょ」という表現がよく使われます。

これは、ミステリーには暗黙の了解があって、たとえばありえないほどの偶然が重なるだとか、探偵役が犯人を直感で当ててしまうとか、そういった「そんなのありなの!」という展開を作者は書いてはいけないことになっているんです。

小説の世界はとことん自由だとはいえ、ある程度の常識は必要ということですね。そうでもないと、読者は変に疑り深くなってしまって、純粋に小説を楽しめなくなってしまいますから。小説家は、読者に対して、常にフェアであることが求められているのです。

 

そしてこれはもちろん、ミステリーに限ったことではありません。主人公の好きな女性のタイプがどこかで明かされるのであれば、小説全体を通して女性の好みについて筋が通っていなくてはいけない。

あちこちに話が飛んで、読者を迷わすことがあってはいけないんです。これは、守らなければならないルールです。サッカーでもTVゲームでも必ずそこにはルールがあって、みんながそれを守っているからこそ面白い。安心して楽しむことができるわけです。

 

もちろん小説ですから、このルールを逆手に取った作品などの例外はあるでしょう。

しかし、ベストセラーや歴代の名作に限っていえば、そんなことをしている作品はひとつもありません。ましてや、私達のような駆け出しが、興味本位でルールを破っていいようなものでないことは間違いないでしょう。読者に相手にされなくなる可能性のほうが大きいですから。

 

基本を守る。簡単そうで難しい。だからこそ、忘れないようにしましょう。

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