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Vol.16 主人公に変化のない物語は人を動かさない

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小説とは、人の心を動かしてこそ名作となりえます。では、小説で人の心を動かすとは、つまりどういうことなのか。その答えがここにありました。

 

物語の始まりと終わりで主人公がまったく変わらないという小説は、まずない。ストーリーが進むにつれて主人公は変化する、ストーリーが登場人物を変化させていく、この変化の過程に読者は感情移入するんです。主人公の感じる怒りや悲しみ、喜びを、読者が共有する。これは非常に大事なポイントです。(引用元:売れる作家の全技術/大沢在昌/角川書店)

 

読者は、主人公へ感情移入します。そして、主人公と心をひとつにして、喜んだり悲しんだりして、ストーリーを楽しみます。それが、小説を読むということであり、読者が小説に求めていることです。

と、そんなことくらいは知ってるよ、のつもりでした。しかし、具体的にどうやって感情移入させたらいいのか説明できない。だからもちろん書けない。結局、私は感情移入させるということに関して、何もわかっていなかったんですね。

 

登場人物が変化していくさまに、人は感情移入する。この事実は、なかなか自分では気がつけないポイントでした。

 

確かに、今まで読んで記憶に残っている小説を思い返してみると、例外なく登場人物が変化していることに気がつきます。

あんなに頼りなかったのに、いつの間にか強くたくましくなっていた主人公。落ち込みやすくマイナス思考だったはずなのに、見た目も心もどんどん綺麗になっていく主人公。どの物語でも、ストーリーの中で変化していく主人公がそこにいるんです。

 

よく考えると、これは小説の中だけに限った話ではありません。現実世界でもそのままのことが言えると思います。周りをよおく見渡してみてください。

何年たってもまったく成長しないあいつ。会うたびに大きくなっていくあの人。そして、今ここにいる自分。記憶に残るものはみな、そこに何らかの変化が起きているはずです。

 

人は、変化する登場人物に感情移入する。頭にしっかりと刻んでおきましょう。

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